2026年9月29日
血糖値は、私たちの体がエネルギーを使うための大切な指標です。
ふだんはインスリンというホルモンが血糖を調整し、体の働きを支えています。
しかし、何らかの理由で血糖が大きく乱れ、体がその変化に耐えられなくなると、
「高血糖緊急症」と呼ばれる危険な状態が起こることがあります。
高血糖緊急症には、主に 糖尿病ケトアシドーシス(DKA) と高浸透圧高血糖症候群(HHS) の2つがあります。どちらも命に関わることがありますが、体の中で起きていることは少し異なります。
ここでは、できるだけやさしく、その違いをお伝えします。
糖尿病ケトアシドーシス(DKA)
DKAは、インスリンがほとんど働かなくなることで起こります。
体は「糖を使えないなら脂肪を燃やしてエネルギーを作ろう」としますが、
そのときに生まれる「ケトン体」が増えすぎると、血液が酸性に傾いてしまいます。
血液が酸性になると、体は強い負担を受けます。
息が荒くなったり、吐き気や腹痛が出たり、のどの渇きが強くなったりします。
体が必死にバランスを保とうとしているサインです。
DKAで見られやすい症状:
・強い吐き気や腹痛
・深く速い呼吸(息が荒くなる)
・のどの渇き
・だるさ、ぼーっとする感じ
・いつもより尿の量が増えることもある
血糖値は高いのに、体はエネルギーをうまく使えず、疲れ切ってしまう状態です。
若い方や1型糖尿病の方に多く見られますが、2型糖尿病でも起こることがあります。
高浸透圧高血糖症候群(HHS)
HHSは、血糖値が非常に高くなりすぎて、血液が“濃く”なってしまう状態です。
血液が濃くなると、体の水分がどんどん奪われ、重篤な脱水が起こります。
ケトン体はあまり増えませんが、脱水が強いため、意識がもうろうとすることがあります。
HHSで見られやすい症状:
・強いのどの渇き
・尿の量が減る
・ぐったりする
・意識がもうろうとする
・皮膚が乾燥し、張りつめたようになることもある
HHSはゆっくり進行することが多く、気づいたときには脱水がかなり進んでいることがあります。高齢の方に多く見られ、感染症や脱水、薬の影響などがきっかけになることがあります。
高血糖緊急症の治療
高血糖緊急症(DKA・HHS)の治療は、体のバランスを丁寧に整え直すことから始まります。どちらも命に関わることがあるため、医療機関での迅速な対応がとても大切で入院での治療が必要となります。
まず行うのは、点滴による水分補給です。
高血糖で失われた水分を補うことで、血液の濃さを正常に近づけ、体の負担を減らします。
とくにHHSでは脱水が強いため、十分な量の点滴が必要になります。
次に、インスリンの投与によって血糖値をゆっくり下げていきます。
急激に下げると体に負担がかかるため、医療スタッフが慎重に調整しながら進めます。
DKAの場合は、インスリンによってケトン体を減らし、酸性に傾いた体を整えていきます。
また、電解質(ナトリウム・カリウムなど)の補正も重要です。
高血糖や脱水で乱れたミネラルのバランスを整えることで、心臓や腎臓の働きを守ります。
必要に応じて、感染症の治療や薬の見直しなど、原因への対応も行います。
DKAとHHS、どちらも早めの治療がとても大切です。
「いつもと違う」「なんとなくおかしい」という体のサインを見逃さないことが、
ご自身を守る第一歩になります。
東新宿あらい内科クリニックでは、
高血糖のトラブルを丁寧に見極め、必要な検査と治療をすぐに行える体制を整えています。
病状によっては近隣の連携医療機関をご紹介いたします。
のどの渇き、息苦しさ、だるさ、いつもと違う疲れ方──
そんな小さな変化でも、気になることがあれば遠慮なくご相談ください。
早めの受診が、体を守るいちばん確かな方法です。

