二次性高血圧
二次性高血圧
高血圧の多くは生活習慣や遺伝要因と関連のある本態性高血圧症ですが、高血圧症の10%程度は疾患原因のはっきりしている二次性高血圧であると考えられています。しかし、最近では様々な降圧薬の登場により治療の選択肢が広がったことで原因が特定されないまま血圧管理がされていることも少なくありません。二次性高血圧の診断が重要である理由は、その原因となる疾患に対する治療を行うことで高血圧が改善する可能性があるという点です。高血圧は長期間または生涯にわたり治療薬を飲み続ける必要がある生活習慣病であり、その初期段階で二次性高血圧を発見し適切に治療することは極めて重要と言えます。
高血圧を呈する疾患は多岐にわたりますが、ここでは代表的な疾患を示します。
原発性アルドステロン症は、副腎からアルドステロンが過剰に分泌されることでナトリウム保持とカリウム排泄が亢進し、高血圧をきたす代表的な二次性高血圧です。治療抵抗性高血圧や低カリウム血症を伴うことが特徴で、スクリーニングにはアルドステロン/レニン(PAC/PRA) 比が用いられます。原因は腺腫と過形成が中心で、治療は片側病変なら手術、両側ならミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などが検討されます。
腎実質性高血圧は、慢性腎臓病などで腎の濾過機能が低下し、ナトリウム・水分貯留とレニン‐アンジオテンシン系の亢進が持続することで生じる二次性高血圧です。蛋白尿や腎機能低下を伴い、血圧はしばしば持続的に高値を示します。治療は塩分制限・レニン・アンジオテンシン系阻害薬を中心に腎保護と血圧管理を両立させることが重要とされます。
腎血管性高血圧は、腎動脈の狭窄により腎血流が低下し、レニン‐アンジオテンシン系が過剰に活性化することで生じる二次性高血圧です。動脈硬化や線維筋性異形成が主因で、急激な血圧上昇、治療抵抗性、腎機能悪化、腹部血管雑音が特徴とされます。診断には画像評価が重要で、治療は薬物療法に加え、必要に応じてカテーテルによる血管内治療を検討します。
褐色細胞腫は、副腎髄質や傍神経節から発生し、カテコラミンを過剰に分泌することで発作性の高血圧を引き起こす腫瘍です。典型的には頭痛・動悸・発汗の三徴を伴い、血圧が急激に上昇します。診断には血中・尿中メタネフリン測定と画像検査が用いられ、治療は腫瘍摘出が基本です。術前にはα遮断薬で血圧と循環動態を安定させることが重要とされています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中の反復する無呼吸により交感神経亢進・夜間低酸素・血管内皮障害が生じ、持続性高血圧の重要な原因となります。特徴は夜間の大きないびき、日中の眠気、起床時の頭痛などで、特に夜間〜早朝の血圧上昇が目立ちます。治療はCPAPが中心で、血圧改善と心血管リスク低減が期待されます。
薬剤誘発高血圧は、特定の薬剤が血圧上昇を引き起こす二次性高血圧で、原因薬の中止や変更で改善が期待できます。代表的な薬剤はNSAIDs、ステロイド、経口避妊薬、免疫抑制薬(シクロスポリン・タクロリムス)、エリスロポエチン製剤、交感神経刺激薬などです。作用機序はナトリウム・水分貯留、レニン‐アンジオテンシン系亢進、血管収縮が中心で、治療抵抗性や急な血圧上昇を認めた際には薬剤歴の確認が重要になります。
また、偽性アルドステロン症は、アルドステロン値が正常にもかかわらず、体内でアルドステロン過剰と同様の作用が生じる病態です。代表的原因は甘草(グリチルリチン)含有製品の過剰摂取によりNa保持・K排泄亢進・水分貯留が起こります。その結果、高血圧、低カリウム血症、代謝性アルカローシスを呈します。漢方薬、健康食品、清涼飲料などに含まれる甘草が原因となることが多く、治療は原因物質の中止と電解質補正が中心です。
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