運動と腎臓:運動に関連する腎疾患、電解質異常について|東新宿あらい内科クリニック|東新宿駅の内科・脳神経内科・腎臓内科

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運動と腎臓:運動に関連する腎疾患、電解質異常について

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2026年8月18日

運動後急性腎障害(ALPE)

運動後急性腎障害(ALPE:Acute renal failure with severe Loin pain and Patchy renal ischemia after anaerobic Exercise)は運動で誘発される急性腎障害であり、いわゆる横紋筋融解症に伴うミオグロビン尿が原因の急性腎障害とは違う機序で発症する疾患であり、無酸素運動による腎虚血が原因と言われています。症状としては背部痛が特徴的なため、尿路結石や胃腸炎と診断されることもあるようです。
運動前に鎮痛薬(NSAIDS)を内服している人や、腎性低尿酸血症の人に起こりやすいと言われています。尿酸は腎において酸化ストレスに対する防御機構として働いているため低尿酸血症では酸化ストレスの影響を受けやすく、腎血管攣縮・腎虚血を起こしやすいのではと考えられています。遺伝的に低尿酸血症をきたす人ではALPEを起こしやすいとの報告もあります。
ALPEでは横紋筋融解症よる腎障害と比較すると、血清クレアチニンキナーゼ値やミオグロビン値が低めとなることが多く、短時間の無酸素運動後に起こりやすい。

運動後急性腎障害(ALPE)の診断

・無酸素運動後に起こる急性腎障害
・腰背部痛を伴う
・血清クレアチンキナーゼやミオグロビン上昇は軽度
・CTやMRIで楔状の腎虚血を疑う所見を認める

運動後急性腎障害(ALPE)の治療と予防

脱水の補正(飲水、輸液療法)、重症例では血液透析が必要となることもある。
無酸素運動の繰り返しや運動前の鎮痛薬使用を避け、脱水症にならないように注意する。
腎性低尿酸血症の患者で尿酸値1.0 mg/dl以下の患者では特に注意が必要となります。

運動関連低ナトリウム血症(EAH)

運動関連低ナトリウム血症(EAH:exercise associated hyponatremia)は、長時間の運動中に血液中のナトリウム濃度が低下することで起こる疾患です。その背景には、水分補給に関する歴史的な指導の変化があります。1981年以前は「運動中はあまり水を飲まないように」とされていたため、高ナトリウム血症が問題でした。しかしその後、アメリカスポーツ医学会が「できるだけ水を飲むべき」と推奨したことで、特に米国では過剰な水分摂取が広まり、EAHが増加しました。

運動関連低ナトリウム血症(EAH)の症状

頭痛、吐き気、めまい、痙攣、意識障害
EAHは、血清ナトリウムがどれくらいの速さで、どれほど低下するかによって症状が決まります。急激に低下すると脳浮腫となり重症となりますが、ゆっくり低下した場合は、倦怠感や混乱など軽い症状で済むこともあります。

運動関連低ナトリウム血症(EAH)の危険因子

EAHは珍しい病気ではなく、マラソンやトライアスロン参加者の約3割で軽度の低ナトリウム血症がみられるとされています。危険因子には、女性、体格が小さいこと、競技経験が少ないこと、鎮痛薬(NSAIDs)の使用などがあり、競技側の要因としては長時間のレース、給水のしやすさ、極端な暑さや寒さが挙げられます。競技種目別では、水泳で頻度が高く、ランニングでは競技時間が長いほど発症しやすくなります。
環境温度も重要で、暑さや湿度が高いほど水分摂取量が増え、EAHのリスクが高まります。逆に、涼しい環境では発症率が低いとされています。

運動関連低ナトリウム血症(EAH)の予防

予防で最も大切なのは「のどの渇きに従って飲む」ことです。過剰に飲むことがEAHの主な原因であり、体重が3%ほど減る程度の軽い脱水はパフォーマンスに大きな影響を与えません。ナトリウムを摂取することは血中ナトリウムの低下を和らげる可能性がありますが、過剰な水分摂取がある場合はEAHを防ぐことはできません。最終的に血清ナトリウムを左右するのは「どれだけ水を飲んだか」であり、スポーツ飲料であっても飲みすぎればEAHは起こります。
EAHを防ぐためには、正しい水分補給の知識を持つことが重要です。EAHは命に関わることもあるため、適切な教育とガイドラインの普及が求められています。

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