2026年5月20日
心・腎・代謝(CKM)症候群
米国心臓学会(AHA)は、2023年に心血管疾患(CVD)・腎臓病・2型糖尿病・肥満が強い関連性を持つことから、こうした疾患を「心・腎・代謝(CKM)症候群」(cardiovascular-kidney-metabolic syndrome)と再定義することを提案しています。これは内臓脂肪の蓄積を起点とし、高血圧や代謝異常が進行する早期段階から治療介入する事により、心不全や脳卒中などの致命的な合併症を予防することを重要視しています。しかし、日本人では米国より高度肥満が多くないことやBMIの基準の違い、BMIが高くなくても内臓脂肪やインスリン抵抗性を示す人が一定数いることなど検討すべき点も多いと言えます。
CKM症候群のステージ分類
ステージ0から4までに分類し次のステージに進むのを抑制することを目的としています。
理由の一つとして全死亡リスクは、ステージ0に比べて段階的に上昇するためステージ4だけが危ないわけではありません。健康診断で指摘される段階はステージ1、2が多いため出来るだけ早期に自身の健康を見直すことが重要なのかもしれません。
・ステージ0(CKM症候群の危険因子がない)
この段階での目標は理想的な健康状態の維持となります。具体的には健康的な食事、運動習慣、禁煙、最適な体重・血圧値・血糖値・コレステロール値の維持、睡眠習慣などが含まれます。定期的な健診などで、血圧・中性脂肪・HDLコレステロール・血糖を評価することが重要となります。
・ステージ1(肥満、耐糖能障害など)
この段階では生活習慣の見直しや食生活改善により体重コントロール(減量)を目指します。血糖が高めであれば積極的に治療介入していきます。定期的な健診などで、血圧・中性脂肪・HDLコレステロール・血糖を評価することが重要となります。
・ステージ2(代謝疾患・腎臓病の危険因子がある)
2型糖尿病・高血圧・脂質異常・腎機能低下があり、腎臓病や心臓病が悪化するリスクが高い状態です。このステージでの治療目標は、心血管疾患や腎不全への進行を防ぐことにあり、血圧・血糖値・コレステロールを管理するために薬物療法が必要となることがあります。
慢性腎臓病および2型糖尿病患者には、腎機能を保護し、心不全のリスクを軽減するためにSGLT2阻害薬の使用が推奨されます。GLP-1受容体作動薬も、高血糖を改善し、体重減少を促進し、CVDリスクを軽減するために、2型糖尿病患者での使用を検討します。また、腎機能評価を定期的に行うことを推奨しています。
・ステージ3(代謝疾患や腎疾患のある患者、または心血管疾患の患者)
生活習慣見直しの強化、治療薬の変更や増量を行い、冠動脈狭窄の評価も検討します。
・ステージ4(肥満、代謝危険因子、または腎臓病のある症候性心血管疾患の患者)
このステージのCKM症候群は、(4a) 腎臓病のない患者、(4b) 腎臓病のある患者の2つに分類されます。このステージの患者は、すでに心房細動などの不整脈や心血管疾患、脳卒中を発症している可能性があります。治療の目標は、CKM症候群の状態を考慮した心血管疾患の個別治療となります。

