可逆性脳血管攣縮症候群
可逆性脳血管攣縮症候群

突然、雷に打たれたような激しい頭痛が起こる「雷鳴頭痛(らいめいずつう)」は、頭痛の中でも特に注意が必要な症状で、くも膜下出血や脳血管の重大な異常でも起こるためCTやMRIでの緊急の評価が必要となります。
しかし、精密検査を行っても異常が見つからないケースがあり、その中に 可逆性脳血管攣縮症候群(Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome:RCVS) が含まれていることが、近年の研究で明らかになってきました。1988年にCall GKとFleming MCにより初めて報告され、Call症候群やCall-Fleming症候群など様々な呼び方をされていましたが、現在RCVSは頭痛診療において非常に重要な位置を占めています。
RCVSは、脳の動脈が一時的に強く縮む(攣縮する)ことで、激しい頭痛や神経症状を引き起こす疾患です。
RCVSは、脳血管の一時的な異常反応によって生じると考えられており、入浴、性行為、激しい運動、強い咳、感情の高ぶり など、日常生活のさまざまな刺激が誘因となることがあります。
雷鳴頭痛で受診した際、発症直後の画像検査では異常が見つからないことがあります。
これは、RCVSの血管攣縮が発症初期には脳の末梢側にあり、MRIやCTでは捉えにくいためです。
そのため、診断は次のような流れで進みます。
初期検査で異常なし
RCVSの可能性を考慮し、慎重に経過観察
1〜3週間後に再検査
血管攣縮が確認されれば RCVS
最後まで異常がなければ
一次性雷鳴頭痛(くも膜下出血やRCVSなど二次性雷鳴頭痛以外)と診断
このように、数週間にわたるフォローアップが診断の鍵となります。
初期検査だけで「問題なし」と判断してしまうと、RCVSを見逃す可能性があるため注意が必要です。
RCVSは、以下のような背景を持つ方に多いことが知られています。
特に産褥期のRCVSは、ホルモンの急激な変動が誘因と考えられています。
また、近年では遺伝的素因の関与も指摘されており、アジア人に多い遺伝子多型が報告されています。
RCVSの病態は完全には解明されていませんが、以下の要因が複合的に関与すると考えられています。
これらの要因により、脳血管の緊張調整が破綻し、血管が過度に収縮することで、軟髄膜を支配する三叉神経が刺激され、雷鳴頭痛が生じると考えられています。
RCVSの中心となる症状は、突然ピークに達する激しい頭痛(雷鳴頭痛)です。
これらは、脳梗塞、脳出血、PRESなどの合併によって生じることがあります。
RCVSの診断には、複数の画像検査を組み合わせて行います。
脳実質と血管の評価
緊急時の迅速な評価
より詳細な血管評価が必要な場合
発症直後は異常が見えないことがあるため、1〜3週間の間隔をあけて再検査することが非常に重要です。
RCVSには確立した治療法はありませんが、臨床経験に基づき以下の治療が行われます。
重症例や脳梗塞・出血を伴う場合は、入院での管理が必要になることがあります。
RCVSは多くの方が数週間〜数か月で回復し、血管の異常も自然に改善します。
しかし、以下の点には注意が必要です。
特に、初発時に性行為が誘因であった場合、再発リスクが高いと報告されています。
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