三叉神経・自律神経性頭痛
三叉神経・自律神経性頭痛

三叉神経・自律神経性頭痛(Trigeminal Autonomic Cephalalgias: TACs)とは、片側の眼のまわりや側頭部を中心に強い痛みが起こり、同じ三叉神経領域である目、耳、鼻、歯にも激痛が生じ、涙や目の充血、鼻づまりなどの副交感神経の症状を伴う頭痛の総称です。TACsには群発頭痛、発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、持続性片側頭痛の4つのタイプが含まれます。これらを見分ける大きなポイントは、発作が続く時間の長さと、インドメタシンという薬に反応するかどうかです(表1)。TACsは片頭痛や緊張型頭痛と同じ一次性頭痛に分類されますが、患者さんの数は少なく、最も多い群発頭痛でも10万人あたり50~400人と報告されています。
片頭痛と片側頭痛は日本語表記ではとても似ていますが、別の疾患です。英語では片頭痛(Migraine)、発作性片側頭痛(Paroxysmal Hemicrania)と言います。「発作性片頭痛」という言葉で検索された場合、多くは片頭痛(Migraine)の症状を指すことが多いですが、短時間・頻回・自律神経症状を伴う場合は発作性片側頭痛という別の病気の可能性もあります。治療法が異なるため、正確な診断と適切な治療を受けるためには、脳神経の専門医への受診も考慮する必要があります。
TACsには以下の4病型があります。
片側(目の奥、上部、側頭部など)
激しい痛みと共に、涙、結膜充血、鼻水・鼻づまり、まぶたの下垂・腫れ、瞳孔の縮小、顔面の発汗などを伴うことがある
非常に強い痛み、短時間(数分~3時間程度)
1日に複数回、連日(群発期)繰り返されることも
アルコール、喫煙、寝不足などが誘因となることがある
群発頭痛は三叉神経・自律神経性頭痛の中では最も多い疾患です。片側の目の奥やこめかみに突き刺すような激しい痛みが突然襲ってくる、一次性頭痛のひとつです。発症は10代から30代に多く、男性に圧倒的に多いという特徴があります。「群発期」と「寛解期」があり、群発期には毎日のように発作が続きます。この期間は数週間から数カ月に及ぶこともあります。群発期が終わると、頭痛は完全に消失し、しばらくの間は症状が現れない寛解期に入ります。急性期治療は、スマトリプタン皮下注と高濃度酸素吸入の2つです。
詳しくは当院ホームページ「群発頭痛」をご覧ください。
群発頭痛の治療で効果が得られない場合や、発作の時間が診断基準に合わない場合には、群発頭痛以外のTACsを考える必要があります。
発作は2~30分と比較的短く、1日に5回以上と頻繁に起こります。群発頭痛よりも短時間で回数が多いのが特徴です。インドメタシンに対しては絶対的に効果があります。
発作は1~600秒と非常に短いのが特徴です。有病率が低いため、大規模な研究に基づいた標準的な治療法はまだ確立されていません。これまでの症例報告から有効とされている薬剤が使われており、最も効果が期待されるのはラモトリギンです。ほかにガバペンチンやトピラマートも用いられます。
SUNHAは秒単位の短時間発作と自律神経症状を伴う頭痛です。SUNCTは結膜充血と流涙の両方を伴い、SUNAはどちらか一方または欠如します。群発頭痛と違いトリプタンや酸素は効きにくい。
3か月以上続く片側の頭痛で、中等度から強い痛みが悪化を伴いながら持続します。頭痛と同じ側に自律神経症状を伴うことや、画像検査でほかのTACsと同様に視床下部灰白質の活性化が確認されることから、TACsに含まれています。発作性片側頭痛と同じくインドメタシンに絶対的な効果を示すため、治療薬も発作性片側頭痛と同じものが使われます。
| 病型 | 発作持続時間 | 発作頻度 | インドメタシン反応 |
|---|---|---|---|
| 群発頭痛 | 15~180分 | 1~8回/日 | 反応なし |
| 発作性片側頭痛 | 2~30分 | >5回/日 | 絶対的反応あり |
| 短時間持続性 片側神経痛様頭痛発作 |
1~600秒 | 多発 | 反応なし |
| 持続性片側頭痛 | >3ヶ月持続 | 持続性 | 絶対的反応あり |
秒単位(SUNCT/SUNA)、分単位(発作性片側頭痛)、時間単位(群発頭痛)、持続性(持続性片側頭痛)
発作性片側頭痛・持続性片側頭痛は絶対的反応あり、群発頭痛・SUNCT/SUNAは反応なし
TACsは一次性頭痛の中でも稀少な疾患群です。
発作持続時間とインドメタシン反応性の確認が診断の鍵となります。
群発頭痛以外のTACsは診断が遅れやすく、適切な鑑別と治療薬選択が重要です。
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