足の腫れやむくみ(浮腫)はよく見られる症状ですが、原因は様々でいくつかの要因が関連していることも多いです。中には重大な疾患が含まれていることもあり注意が必要です。原因としては全身の問題と局所の問題があります。また、健常者でも長時間座っていたり立っていたり、塩分やアルコールをたくさん摂取すれば足がむくむことはよくあります。女性ではホルモンバランスで、高齢者では活動性が低下するとさらに症状が出やすくなります。このように病気でなくても浮腫は見られるため原因が特定されないことも多いです。

むくみ
むくみ
足の腫れやむくみ(浮腫)はよく見られる症状ですが、原因は様々でいくつかの要因が関連していることも多いです。中には重大な疾患が含まれていることもあり注意が必要です。原因としては全身の問題と局所の問題があります。また、健常者でも長時間座っていたり立っていたり、塩分やアルコールをたくさん摂取すれば足がむくむことはよくあります。女性ではホルモンバランスで、高齢者では活動性が低下するとさらに症状が出やすくなります。このように病気でなくても浮腫は見られるため原因が特定されないことも多いです。
足のむくみで気づくことが多く、両足に出現し指で押すとへこんで戻らないような症状です。むくみのぶん体重が増加することもあります。原因としては以下のようなものがあります。
心臓のポンプ機能が低下して全身に血液を送り出す力が弱まるため全身の血液が滞りむくみとして現れます、また腎臓に流れる血液の量も減り、腎臓の機能が低下すると塩分や水分を排泄できないため体に余分に溜まります。肺に余分な水がたまると肺水腫という状態となり息苦しさやだるさなどの自覚症状を感じるようになります。
慢性腎臓病(CKD)で腎臓の機能が低下して塩分や水分を排泄できない病態やネフローゼ症候群のように大量のたんぱく尿のため血液中のたんぱく質が減少するような病態でみられます。とくにネフローゼ症候群では急激に進行し靴が履けないほどになることもあります。
甲状腺ホルモンという人体の恒常性を維持するホルモンの機能が低下する甲状腺機能低下症では、体内の物質や水分がうまく代謝できず、むくみが発生します。むくみの部位を指で押してもへこみが残らない非圧痕性浮腫(non-pitting edema)がみられることがあります。このような浮腫はリンパ浮腫や血管性浮腫でも見られることがあります。
様々な理由で食事が十分にとれない場合、または消化管や腎臓からタンパクがもれてしまう病気では血液のたんぱくやアルブミンが低下します。すると血管の外に水分が漏れやすくなり浮腫となります。
腕や足などその部位に原因がある場合です。片方のみに出現することが多いです。局所の問題なので体重増加は伴わないことが多いです。原因としては以下のようなものがあります。
足の静脈が血の塊(血栓)でつまってしまう病気です。片方の足が急に赤く腫れます。長期間にわたり病気やけがで動けず寝ている時や乗り物(飛行機など)に乗っている時などに起こりやすいといわれています。血栓が足の静脈から飛んで肺の血管につまる肺塞栓症(一般的にエコノミー症候群とよばれています)の原因となる可能性があり、生命にかかわることもあります。
むくみとは少し違いますが、足の静脈がこぶのように膨らむ病気で見た目だけでも診断できる病気です。静脈の弁の働きが弱り血液が逆流することが原因です。外科的な手術が必要となることもあります。
リンパの流れが悪く足が腫れるリンパ浮腫などがあります。
前述の通りむくみの原因は様々なものがあり、健常人でも認めることがあります。そのためスクリーニング検査が重要になります。簡単にできる検査から重篤な疾患の可能性を探り必要に応じて更なる検査を追加する必要があります。
まず行う検査としては以下のようなものがあります。
血液検査では心不全を診断する上で有用な指標であるナトリウム利尿ペプチド(BNP、NT-proBNP)の測定、腎機能を評価する(クレアチニン、尿素窒素など)項目、血栓に関連する凝固線溶系マーカー(Dダイマーなど)など浮腫と関連する様々な情報が得られます。
尿検査ではたんぱく尿の有無が判定できます。ネフローゼ症候群などの鑑別に有用です。
胸部レントゲンでは心臓の大きさ、肺に水が溜まっているかなど体液量の評価ができます。
心電図検査では不整脈など心疾患の評価に役立ちます。
超音波検査では痛みなどの侵襲もほとんどなく安全に様々な情報を得ることができます。心臓の機能、腎臓の形などから腎疾患の有無、甲状腺エコーにより甲状腺異常の原因となる疾患の鑑別、下肢静脈の血栓の有無など評価が簡単に行えます。
いわゆる心不全や慢性腎臓病などの腎不全、ネフローゼ症候群など体に塩分や水分が過剰に溜まっている状況では利尿薬という尿量を増やす薬が使用されます。利尿薬には色々な種類があり病態にあったものを選択します。塩分や水分を排出するループ利尿薬、水だけを排出するバソプレシン受容体拮抗薬など使用には副作用などに注意し定期的な検査を行いながら使用するのが重要です。入院しないと使用できない薬もあります。
また、甲状腺機能異常が原因であればホルモンバランスを整えるような治療が必要になりますし、深部静脈血栓症であれば血液をサラサラにするような薬が適応になりますが、いずれの治療もきちんと評価しながら使用することが望ましいです。
当クリニックには院内機器にて血液検査、尿検査、レントゲン検査、心電図、超音波検査を行うことが出来ます。迅速に検査結果を確認できますので、必要があれば連携施設でさらなる検査治療を行っていただきます。
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