PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは何か?|東新宿あらい内科クリニック|東新宿駅の内科・脳神経内科・腎臓内科

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PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは何か?

PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)とは何か?|東新宿あらい内科クリニック|東新宿駅の内科・脳神経内科・腎臓内科

2025年12月09日

はじめに

PPPDは2017年に提唱された新しい概念の慢性的なめまい症です。英語ではPersistent Postural-Perceptual Dizzinessと呼ばれ、日本語では「持続性知覚性姿勢誘発めまい」と訳されます。現代社会において、めまいの症状を訴える人は少なくありませんが、PPPDは従来のめまい疾患とは異なる特徴を持っています。急なめまいを発症した後、ふわふわしためまいや不安定感が3ヵ月以上にわたってほぼ毎日みられる病気です。40歳台女性に最も多く見られます。一般的に3か月以上症状が持続するめまいを慢性めまいといいますが、その原因として持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)が最も多く、40%程度を占めるとも言われています。

主な症状

  • 持続的なふらつき感、揺れ感
  • 立位や歩行時など、姿勢を変えたり保つことで悪化する
  • 視覚刺激(人混み、スクリーン、動く物体など)で症状が増悪
  • 症状は日常生活でほぼ毎日感じるが、完全には消失しない
  • 回転性めまいではなく、主に不安定感や浮遊感が中心

とくに視覚刺激(複雑な色合い、スマホ画面のスクロール、テレビや映画の動きの激しい映像、本や新聞など細かい文字)をきっかけに悪化するのが特徴と言われています。

発症のきっかけ

PPPDは、以下のような出来事をきっかけに発症することが多いとされています。

  • 前庭神経炎や良性発作性頭位めまい症(BPPV)などの前庭障害
  • 片頭痛、特にめまいを伴う片頭痛
  • 強い精神的ストレスや不安障害
  • 外傷や事故

これらの出来事を契機に、脳が本来の平衡感覚や空間認識をうまく調整できなくなり、慢性的なめまいが続くと考えられています。

原因とメカニズム

PPPDの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。

  • 前庭系(平衡感覚を司る器官)の一時的な障害
  • 脳の知覚処理や空間認識の異常
  • 心理的要因(不安・抑うつなど)
  • 視覚情報への過度の依存

PPPD患者は、身体の揺れやバランスの変化に対して過敏に反応しやすく、脳が「危険」と判断してしまうことによって症状が持続すると考えられています。

診断方法

PPPDの診断は主に問診によって行われます。特徴的な症状や発症のきっかけ、症状の持続期間(3ヶ月以上が基準)などを確認します。必要に応じて、他のめまい疾患や神経疾患を除外するために、画像検査や前庭機能検査が行われることもあります。

  • 症状が3ヶ月以上持続している
  • 姿勢の変化や視覚刺激で症状が悪化する
  • 他の身体的・神経的疾患では説明できない

治療法

PPPDの治療は多角的に行うことが推奨されています。主な治療法は以下の通りです。

  • 認知行動療法(CBT)
    不安や恐怖心を和らげるための心理療法で、PPPD患者に有効であることが多いです。必要に応じてメンタルヘルス科や心療内科の受診をおすすめすることもあります。一例として、めまいやふらつきなどが生じるきっかけや症状などをめまい日誌に記入して自分のめまいを「認知」し、めまいやふらつきへ対応方法を考え「行動」してめまいを改善させていくなどが挙げられます。
  • 前庭リハビリテーション
    バランス訓練や目の動きのトレーニングを通じて、平衡感覚を改善します。
  • 薬物療法
    抗うつ薬や抗不安薬が症状の緩和に使われることがあります。
  • 生活習慣の見直し
    睡眠や食事、適度な運動など、生活リズムを整えることも重要です。

まとめ

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は、慢性的にふらつきや不安定感が続く疾患です。心理的な要因や前庭系の障害が複合的に関与していると考えられており、治療には認知行動療法やリハビリテーションなど多方面からのアプローチが必要です。症状でお困りの方は、早めに専門医に相談することをおすすめします。

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