2026年4月08日
日本肥満学会は2025年4月、「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)」に関するステートメントを公開しました。これまで社会問題として指摘されてきた日本の若年女性の痩せすぎ傾向を、医学的に新たな症候群として位置づけ、その問題点を整理したものです。今回はその内容について解説します。
日本人若年女性の痩せすぎ問題
日本の20代女性の約2割が低体重(BMI18.5未満)であり、先進国の中でも特に高い割合とされています。低体重や低栄養は、骨量低下や月経異常など、女性の健康に関わるさまざまな障害と関連することが知られています。
痩せた女性が多い背景には、「痩せ=美」という価値観の浸透があり、それに伴う強い痩身願望が指摘されています。近年では、糖尿病や肥満症の治療薬であるGLP-1受容体作動薬が「安易な痩身法」として適応外使用され、社会問題となっていることも一因と考えられています。
また、従来の医療制度や公衆衛生施策では肥満対策が重視され、低体重や低栄養への体系的なアプローチは十分ではありませんでした。その背景には、低体重や低栄養と疾患の関連を示す明確な疾患概念が存在しなかったことが挙げられます。
低体重および低栄養による健康リスクと症状
骨量低下・骨粗鬆症
若年期は骨密度のピークを獲得する重要な時期です。しかし、低栄養やエストロゲン低下、低体重による機械的負荷の不足は骨形成を阻害し、20代での骨減少を招き、将来的な骨粗鬆症リスクを高めると考えられています。
月経周期異常・妊孕性の低下・児の健康リスク
低栄養や急激な体重減少は視床下部—下垂体—卵巣系に影響し、月経不順や排卵障害を引き起こします。長期的には不妊や妊娠合併症のリスク上昇が懸念されます。
また、低体重に伴う希発月経や視床下部性無月経は、妊娠前の体格・栄養状態の不良と相まって、切迫早産や低出生体重児の増加など、児の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
微量元素・ビタミン不足による健康障害
低栄養では複数のビタミン・ミネラル不足が生じやすく、さまざまな健康障害を引き起こします。
鉄・葉酸・ビタミンB12不足は貧血を、亜鉛欠乏は創傷治癒遅延・免疫低下・味覚異常をもたらします。
さらに、ビタミンDやカルシウム不足は骨密度低下を招き、骨粗鬆症や骨折リスクを高めます。
代謝異常
低体重は糖尿病発症リスクと関連し、日本人若年女性の低体重では耐糖能異常のリスクが高いことが報告されています。また、エネルギー制限により甲状腺ホルモンの一種であるトリヨードサイロニン(T3)が低下する「低T3症候群」や、LDLコレステロール上昇などの脂質異常症を引き起こすことがあります。
サルコペニア様状態
サルコペニアは加齢に伴う筋量・筋力低下を指しますが、若年女性の低体重や低栄養でも筋量低下が指摘されています。筋量・筋力の低下は将来的なロコモティブシンドロームやフレイルにつながる可能性があり、ライフコース全体の健康維持の観点からも、若年期の予防が重要です。
摂食障害
過度な摂食制限は摂食障害へ移行することがあります。心理的ストレスや自己肯定感の低下と相まって重症化する例も少なくありません。特に若年女性では、理想的なボディイメージの内面化や、メディアを含む社会からの痩身圧力が摂食障害のリスクを高めます。
精神・神経・全身症状
低体重や低栄養は、倦怠感、睡眠障害、低血圧、頭痛、便秘、冷え性、肌質・髪質の低下などの身体症状を引き起こします。
また、抑うつ、不安、集中力低下、認知機能低下、身体活動量の低下などの神経精神症状もみられます。
たしかに肥満症は様々疾患のリスクとなりますが、安易なダイエットはむしろ健康を害することもあるため注意が必要です。本当にダイエットが必要なのか医師と相談することも必要かもしれません。この記事で低体重のリスクについて少しでも知ってい頂ければと思います。

