2026年2月04日
高血圧と交感神経
高血圧は、心疾患、脳卒中、死亡につながる要因のひとつです。日本には高血圧患者は、約4,300万人いると推定されており、日本人のおよそ3人に1人が高血圧と言われています。また、薬物療法や生活習慣への介入が可能な病気にもかかわらず、管理が十分出来ているとは言えない状況です。
本態性高血圧の成因のひとつに交感神経の亢進があります。交感神経活動の中枢である脳(頭側延髄腹外側野)からの刺激により末梢交感神経活動が亢進します。その結果心臓の心拍出量の増加・血管の収縮により血圧を上昇させます。また腎臓に対しても、レニン分泌およびそれに基づくアンジオテンシン IIやアルドステロン産生の亢進、尿細管細胞刺激によるNa再吸収亢進、細動脈刺激による血管収縮をもたらし血圧を上昇させます。このような作用の結果もたらされる腎虚血、低酸素、腎実質障害により求心性腎神経が亢進し、脳にその情報が伝わります。このような交感神経系の悪循環により本態性高血圧患者の中には治療抵抗性となる患者がいると考えられています。
腎デナベーション(Renal Denervation: RDN)
腎デナベーションは治療抵抗性の高血圧の新たな治療法です。2025年9月に日本においてデナベーションシステムが製造販売承認を取得しており、現在保険収載に向けた手続きが進められています。(2025年12月現在、保険適応はありません)治療抵抗性高血圧とは、3種類以上の降圧薬(利尿薬を含む)を適切に使っても血圧が目標値まで下がらない状態を指し、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるため、原因の特定と専門医による治療が重要です。しかし原因として、不適切な血圧測定、薬の飲み忘れ、塩分・アルコール過多、肥満、睡眠時無呼吸症候群、薬の副作用、その他にもホルモン異常、腎臓病などの二次性高血圧が考えられ、これらを改善・治療することで血圧が下がる可能性があるため、まず生活習慣の改善や原因の検査を十分に行うことが必要と思われます。
具体的な治療の方法としてはカテーテルを大腿動脈経由で両側の腎動脈まで挿入し、腎動脈周囲の交感神経を高周波や超音波などで焼灼して交感神経の過剰な活動を抑制する、高血圧症に対する新しい治療方法です。治療抵抗性高血圧において、交感神経活動が抑制され著明な降圧が見られることが報告されました。さらに、心肥大の退縮や糖代謝・インスリン抵抗性の改善が報告されています。このように長期的な降圧のみならず、臓器保護・代謝改善効果をもたらすと期待されています。


